ファブリック製造における技術革新
Metallic Dyes:メタリック染料
East Meets West:東と西が出会う場所
Pop-Up Shop, Store-Within-A-Store Boutique:ポップアップストア、ブティック併設ストアの先駆け
Engineered Print:工学的な印刷技術
メタリック染料
シャヒーン社のメタリック染料は、布のプリントに使用される革新的なメタリック染料です。
1950年代初頭、シャヒーンは親友でシャヒーン社染料部門の責任者だったエドモンド・ルッツ博士とともに、メタリックカラーのライブラリーを作りました。 メタリックカラーには、金、銀、宝石色、そしてフーシャ、アクア、ラベンダーなどの複雑で微妙なな色合いが含まれています。
このように特殊技術で作られたメタリック染料は、プリントの輪郭を描くこともあれば、プリントそのものに使われることもありました。さらにメタリック染料は、綿や綿混紡、シルク、リネン、ボイルなど、ほとんどすべての布地にプリントすることができました。
染料が最初に作られてから70年近く経ちますが、当時製造されたシャヒーン商品の多くには染料が、今日でもそのまま美しい色合いのまま残っています。
東と西が出会う場所・ポップアップストア、ブティック併設ストアの先駆け
シャヒーンは、大手百貨店の店舗内ブティック「East Meets West」を手がけ、ポップアップショップのコンセプトを確立しました。プレハブスタイルで移動が可能な管理組み立て式のポップアップストアユニットは、全米に配送され、大手百貨店の店内で組み立てることが可能でした。当時としては、革新的かつ斬新な新たな手法におけるストア展開として、話題を呼びました。
左の記事(日本語訳):「東と西が出会う場所」そしてファブリック印刷の技術革新
「東と西が出会う場所」というフレーズは、今日においてはごく当たり前に日常シーンで使われる表現だが、実はこのフレーズを作ったのがアルフレッド・シャヒーンであることはあまり知られていない。彼が、全米を市場に有名デパートに向けて計画した<ブティック店舗の中につくる店舗>というコンセプトを打ち出した際、使い始めたのが最初と言われている。
シャヒーンにとってテキスタイルとアパレルはコミュニケーションの手段であり、彼のテキスタイルデザインはあらゆる民族へ敬意を表するための一つの手段でもありました。
シャヒーンは、文化的な側面を忠実に、本格的なイメージとしてテキスタイルや衣服に使用することを心がけ、エスニックファッション、というテーマを国際的なアパレル産業の最前線にもたらしたのです。文化の多様性を重んずることを信条とし、社内デザイナーにも文化のルーツに忠実なテキスタイルデザインを作るように求めました。
1960年代半ばには、シャヒーン社のブティック「East Meets West by Alfred Shaheen」は、全米の主要デパートで出店されるようになりました。このブティックは、シャヒーンの高級プレタポルテのために吟味して作られたエキゾチックな展示会場のような作りになっていました。ブティックは、ハワイにあるシャヒーン社の工場で完成形として組み立てられ、すぐに設置できる状態で米国本土に配送されました。
1960年代後半になると、全米の百貨店に140店舗が展開され、米国本土の百貨店にこのようなブティックを併設させたことが、現在のデザイナーズ・ブランド・デパートの前身となっていきました。1960年代当時のアパレル業界は、まだ大量生産型のデザイナーズブランドは市場に根付いていなかったのです。
シャヒーンが創出するエキゾチックなデザインイメージは、メタリックプリントというシャヒーンのもう一つの革新的な技術によって、一躍脚光を浴びることになります。既製品衣料として販売するために、耐光性、耐塩素性、熱帯気候の過酷な気温環境にも耐えることができるメタリック染料を開発したのです。
メタリック色の代表色である金・銀以外にもサファイア、ルビー、エメラルド色といったメタリック染料も開発し、その数は実に100色以上にも及びました。ファブリックプリントも全てメタリック染料で行われたテキスタイルから生み出される衣服は、まさに目を見張る見事なものでした。メタリック染料は、洗える布地であればどんな素材にも使用でき、染料が作られてから50年以上経過する現在でも、その発色は色褪せることなく維持されています。
現代では当たり前のように使われているメタリックプリントですが、1950年代初頭に既製品衣料に起用して誕生したメタリックプリントは、シャヒーンが伝説のテキスタイルデザイナーと呼ばれ、歴史に残る人物として称賛されることに繋がる大きな功績でした。
(文:リンダ・ボイントン博士)
工学的な高い印刷技術
シャヒーンは、デザインの初期段階から、出来上がった洋服を着用する人が最も美しく見えるためのシルエットを考慮しデザインコーディネートを作り上げていった、シルクスクリーンデザインのコーディネーションにおけるパイオニアです。
大きなデザインモチーフを作るために、24インチ(約61cm)幅のシルクスクリーンを自作し、見事なプリントと既製品衣料を実現しました。